一体型PCの検査と修理

 7年ほど前に納入した一体型PCの調子がおかしいという事でお預かりして検査いたしました。症状としてはブルースクリーンが表示された後に再起動したが画面が映らないという事です。引き上げて内部回路の放電処理を行い電源を入れたところ、普通に立ち上がったのですが再起動を駆けるとブラックアウトして前に進みません。耳を澄まして聞いてみると内蔵しているHDDが繰り返し起動している音が拾えました。起動信号は受けているようですがBIOSの立ち上がりまでは行かないようです。

 一体型PCはその構造上とても扱いが難しいです。大方の配線にフィルム配線を使い長さも調整して固定してあったりして、うっかり勢いよく部品を動かすと配線が切れたり取付コネクタを損傷します。特に今回の「ASUS ZEN AiO Pro」というPCはアルミ削り出しのスタイリッシュなデザインで表にねじ穴などなく、ABS樹脂部品と圧着材の下の隠しねじで止めてあります。下手に器具でこじ開けるとすぐ壊れてしまうので、低温ドライヤーや極薄剥離用器具を使って慎重に開封し、少し持ち上げてから内部配線の確認を行ってから配線の取り外しと分解を行いました。

 まずエアーで内部の掃除を行います。使用環境は室内で禁煙の部屋でしたので7年使っていても大変きれいでした。1年おきに定期的なメンテナンスはさせていただいていたのでもちろん埃もありませんし、ヤニ汚れもありません。外れている部品や混入しているものもありません。
 次に取り付けてあるパーツを全て外します。メモリーはマザーボードにオンボードされているので、HDDとSSD、それにCPUだけが取り外せます。取り外した部品はそれぞれ別のPCに移植して正常性チェックを行います。正常性が確認されるとHDDとSSDは念のためバックアップを取ります。これでデータは保護されました。最後に負荷テストを行います。これもクリア。

 以上の結果から異常があるのは、液晶、マザーボード、電源のいずれかです。

 一体型はここまでが限界です。 そこで再度組み上げて通電すると正常に立ち上がりました。しかし再起動するとまた同じ現象に。これは解決の糸口になるかもしれません。

 その後、結果としてはメーカーとやり取りしつつ、電源回路の異常であることを突き止めました。しかしながら7年前の機種なのでメーカーにもパーツが無く、修理は海外でパーツを探さないといけないために時間と日数がかかりそうとのこと。一先ず仕事用のパソコンですから代替機を用意させていただき、バックアップしたイメージから故障直前の状態に戻して納品いたしました。
 幸い代替機のオリジナルPCを気に入って頂いたのでそのまま納品と相成りました。

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