バックアップメディアの突然死

 先日、2006年から2008年頃の米国ワーナー社製のDVDソフトメディアが劣化して見られなくなり、交換対応を余儀なくされたというニュースがありました。このメディアの劣化というのは何もこのワーナー社に限らず、どのCD/DVD/Blu-rayメディアにも起こりうる問題です。

 カナダの研究所による試算(引用元URLリンクはこちら)によるとこれら光記憶メディアの耐用年数は次の通りです。

光ディスクのフォーマット平均寿命
CD-R(フタロシアニン染料、”金”金属層)100年以上
CD-R(フタロシアニン染料、”銀合金”金属層)50年から100年
DVD-R(ゴールドメタルレイヤー)50年から100年
CD50年から100年
CD-RW20年から50年
BD-RE20年から50年
DVD+R(”銀合金”金属層)20年から50年
CD-R(シアニンまたはアゾ染料、”銀合金”金属層)20年から50年
DVD+RW20年から50年
BD-R(無着色・金メッキ)10年から20年
DVD-R(”銀合金”金属層)10年から20年
DVDおよびBD10年から20年
BD-R(染料または無染料、単層または二層)5年から10年
DVD-RW5年から10年
DVD+R DL(二層)5年から10年
染料と染料の色反射層反射光によるディスクの非ラベル面からの外観ディスクを透過した光によるディスクのラベルのない面からの外観
シアニン(青)青い
フタロシアニン(ライトグリーン)ライトグリーン
シアニン(青)銀合金青または緑がかった青青または水色
フタロシアニン(ライトグリーン)銀合金ライトグリーンライトグリーン
アゾ(ダークブルー)銀合金ダークブルーまたはライトブルーダークブルーまたはライトブルー

 これは推奨保管方法(湿度の低い冷暗所でメディアをジュエルケースもしくはポリプロピレンケースに入れて付属のサッシやケースを取り除き垂直に立てて保管)での事ですので、私たちが一般的に行っている保存方法(重ねて放置など)ではさらに寿命が短くなります。

 これらに替わって最近ではシリコンメディア(USBメモリ等)が良く使われています。容量も大きく読み書きのスピードが断然速いシリコンメディアはとても便利です。しかしながらこれらシリコンメディアは大容量がゆえに紛失、棄損した影響がとても大きいものです。

 先日のこと、普段愛用しているUSBメモリ(Transcend製512GB)が突然認識しなくなりました。USBTypeA/TypeC両対応の優れもので高速大容量なこともありここ5年ばかりは多用していました。その日も出向いた先のデータ移動のために持ち運んでいました。
 作業を終え現場でフォーマットして持ち帰り、別のデータを移すためにPCに差し込んだところ接続音はするのに認識できません。しばらくすると取り外してもいないのに取り外し音がします。何度か繰り返しても同じ。これは困りました。

 そこでデバイスマネージャーを確認すると、

 このように不明なUSBデバイスとして認識されています。別のPCに繋いでも一緒です。

 結論から言えば内蔵のコントローラーチップの故障です。救う手立てが無いわけではありませんが手間と費用を考えると必要なデータがあるわけでもないので諦めました。

 高速大容量のシリコンメディアも無敵ではありません。このように記憶部分を制御しているチップ一つの故障であっという間に使えなくなります。また繰り返し読み書きされているメディアではメモリ部分の劣化も早くなります。利用頻度にもよりますが、一般的にはUSBメモリは3年から5年、SSDで5年から10年と言われています。

 ここで考えなければならないのは失われたデータの価値です。家族の思い出や研究実験データ、会社の帳票や業務、契約書などどうしても無くしたくないデータであればどうしても取り出したいと思うはずです。費用をかければ何とか取り出すこともできるでしょう。しかし総じて高額になりがちです。
 そこであらかじめバックアップをとってもこのようにメディアの劣化問題もあります。ですから本当に大切なデータは複数の異なるメディアに保存しておくのが大切です。

 それでもどうしても大切なデータが取り合出せないときは是非ご相談ください。

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